先週、名古屋大学に行って情報処理学会東海支部主催講演会の講演を行いました。 また、昨日国立情報学研究所(NII)に行って、言語学×自然言語処理合同勉強会で、同じ内容の発表をしました。 昨年、東北大学の講義用に話した内容をベースに、学生向けの内容を削って、ビジネスサイドの話とDeepLearningの内容を足した感じになっています。 資料は名大で行った90分向けのものです。
自然言語処理(NLP)でビジネスを作るという文脈で考えると、NLPはさして大きな成功を収めているように思えません。 実用的に大きな成功を収めているのは日本語入力くらいなもので、長年研究されているような翻訳や質問応答や要約はもとより、比較的簡単な文書分類や評判分析と言った領域もあまりぱっとしていないのです。 こういう、一見「枯れた」と思われがちな技術ですら、どういうわけかビジネスに持って行こうとするとうまく行かなくてモヤモヤしておりました。 もちろん大きなサービスの裏側で実は動いていますという話はよく聞きますが、それはメインの貢献ではなくて補助的な役割が多いように思えます。
そうした中で、音声入力や、情報収集アプリ、機械翻訳が急に注目されて、突如として一般の人が使うようになったのは何でだろうと思っていて、これは環境の変化の方が大きかったのだということに気づきました。 この辺の話は、私が自分自身で考えたこと以上に、お客さんに指摘されて気づいた部分もあります。 この数年はデバイスの変化の激しい時期で、それにかぶさるようにDeepLearningという技術が急成長している時期でもあります。 2つの変化の組合せが、どういう進歩をもたらすのかというのがこれから注目するところでしょう。
8年前、学部生の私が自然言語処理の道を選んだのは、あらゆる人の生活に関わるものであるから、世の中の役に立つ貢献ができるだろうと考えたからでした。 技術を世の中に出して行くということを考えると、技術そのものだけを見ていてはダメで、世の中の変化に対してもアンテナを立てないといけないと再認識しました。
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