昨年度も良かった本5冊紹介。2013年も50冊くらいでした。長編は大地の子くらいですね。
GEの伝説的な経営者、ジャック・ウェルチの経営書。今年一番面白かった。経営のみならず、働き方、成果の出し方、予算やM&Aや退職勧告や家族のことなど、仕事全般に関する著者の考えがまとまっている。誠実であること、エネルギッシュであること、前向きであること、たくさん失敗すること。一つ一つは極めて「当たり前」である一方で、そうした当たり前を実践するのがいかに難しいか考えさせられる。大変共感させられる内容だったが、価値観や考え方が近いからなのかもしれない。
質の高い仕事を短時間で達成するにはどうすればよいか?マッキンゼーで長年コンサルタントをしてきた著者の発想法。issueとはすなわち本質的にやるべき仕事なのかどうか、ということ。闇雲に手を動かして、なんとなく材料が集まってから成果物にまとめるような方法を「犬の道」と断じ、まずそれが達成すれば本質を捉えられるのかどうかを、成果がどのようになるのかをはっきり見定めろということ。それを手助けするのがフレームワークであり、闇雲に使えばいいのではないということ。
赤字経営で破綻寸前の東洋アストロンに、親会社の大企業、新日本工業から送り込まれたミドルの伊達陽介が、はじめての経営経験の中でその困難とプレッシャーをはねのけて会社を、そして自身を成長させる。おそらくフィクションだが、経営コンサルとしての著者の描くストーリが、実に生々しい。日本ではこうした経営経験の経験を積む機会が何より少ないことが問題であるという著者の問題意識と、あとがきで語られる「『クールな戦略性』と『ホットなリーダーシップ』」が随所に現れる。そして何より、企業の規模や収益の構造、置かれた立場などがまるで自分の会社に酷似していて、人事のようには感じられなかった。
運動もできないし、練習時間もない、基本的に下手、なのにベスト16。母校の高校野球部を取材したルポ。勝つためにはこれしかないという青木先生の強い思い、それを実現するための熱意が伝わってくる。常識にとらわれない、しかし実は合理的で論理的な方針。これだけ突飛なビジョンだと誰もついてこなくても不思議ではないが、徹底した論理と熱意が人を動かし、結果を残しているんだと思う。
太平洋戦争の満州からの引き上げから始まり、文化大革命、労働改造所での生活、再建に湧く製鉄所建設。近代・現代の中国の様々な負の側面、近代化と工業化の歴史、その中での日本の位置付け、様々な面が見て取れる。全編を通じて感じる異様なリアリティを感じたのだが、作者の山崎豊子は共産党幹部とコンタクトを取り、あらゆる側面を特別なはからいであらゆることを紙に書くことができたようだった。ちょうど読み終わった次の週くらいに亡くなり、衝撃を受けた。
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