2013年11月9日土曜日

α7に見るSonyのカメラ哲学

またSonyがやってくれた。先月発表されたα7のスペックが衝撃的。ミラーレスなのにフルサイズ、そして有機ELファインダー。ここ数年、野心的なカメラばかり出し続けるSonyの新製品だが、その狙いは、カメラの再定義なのではないか。

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Sonyの最近の新製品の特徴はどれも似た部分を感じる。背面液晶の超高画素化を果たしたNEX、フラグシップモデルに電子ビューファインダー(EVF)を載せたα99、背面液晶のないレンズスタイルカメラ。いずれもファインダー周りの刷新という要素がある。考えてみれば、一眼レフカメラの最大の特徴がファインダーとそれを構成する光学装置であり、プロユースには欠かせない。ところが、Sonyはこれを得意の有機ELのEVFで電子化しようとしている。そして、ミラーレスとの垣根を取り払い、ハイエンド機にもEVFをという流れを作ろうとしているのではないか。実際に、自社のフラグシップモデルのα99はすでにEVF化されている。
現状の一眼レフデジカメは、センサーだけが電子化されて、それ以外は従来のフィルムカメラと構成上は同じ。画質への影響の強いフィルムだけ電子化させた姿は、燃費の悪い低速時だけ電気に置き換えたハイブリッド車のような様相だ。すると、自動車が急速に電気化するのと同様に、カメラも急速に電子化していくことが予想される。ではなぜ未だにファインダー周りは光学機械に頼っているか。端的に言えば実用に耐えないからだ(3年前の感覚だが)。個人的に気に入らないのは3つ、反応性が悪い(動体を追えない)、解像度が足りない(ピントの山が見えない)、ダイナミックレンジが足りない(白飛びする)。ところが、NEXを出した辺りから急速に高解像度化が進み、そして有機ELによる高コントラスト化・高反応性が進んでいる。その流れで、α99というSonyのフラグシップモデルが早くもEVFを採用。どう考えても光学ファインダーが優勢のこの時期に。ファインダーが電子化されれば、ピントのアシストなどやれることは広がるだろう。Sonyは将来的にファインダーがすべて電子化されることを見越して、どういった付加価値が出せるのかを他社に先駆けて探ろうとしているようにみえる。
他社が一眼レフとミラーレスという2つのラインで、そしてハイエンドの一眼レフはアナログ、電子化は一段劣るミラーレスで、とやっている。一方のSonyは完全電子化こそが未来のカメラの姿だと言わんばかりに、全ラインナップを電子化。さながらテスラの様相。そうしてみると、α7はSonyの考える未来のプロ向けデジタルカメラの姿なのではなかろうか。2014年には電気自動車のF1が開催されるという。今後のSonyがどういうカメラを定義していくか楽しみである。

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