2010年7月26日月曜日

3D映画と視差とボケ

ちょっと前に会社の人とAlice in Wonderlandを観にいきました.もちろん,ここで映画の感想うんぬんを語る気は毛頭なくて,最近妙に流行りだした3D映画といわれる技術に関してです.


2次元のスクリーン上に映し出された映像で立体物を見ているような感覚を得られる原理の基本は,両眼視差による効果です.左右の目に別々の画像を見せているわけです.立体視の方法は他にも色々あるわけですが,もう一つの代表的な方法が目の焦点によるものです.つまり,ピント.3D映画の場合,スクリーンまでの距離は一定なので,この方法で奥行きを認識できません.感じた違和感の一つはたぶんこれです.両眼視差的にはこのくらいの距離のはずなのに,ピントは別のところにあってるなぁ,という感覚.しかし,たぶんもっと感じた違和感はそこではなくて,ボケのせいだと思います.焦点の合ってない部分はボケて見えるわけですが,写真や動画でももちろん焦点の合ってない部分はボケますし,特に強調されて撮影されます.これに,3D映画の両眼視差を組み合わせると変な感覚がするのです.

そもそも写真とか動画においてボケというのは表現手法の一つなわけですよね.自分の感覚では,人間の目は典型的な写真や映画ほど被写界深度が浅くない(それほどボケてない)のですが,意識が行ってないもの,あるいは視差のあってないものの情報はほとんど入ってこないように感じます.この,情報の入ってこない感覚を2次元の写真や動画で表現するために,人間の目よりも大きなボケで表現しているんだと考えています.写真を見ると全体にフォーカスがあうので,実際の目よりもボケを強調した方が,実際の認識に近い感覚が得られるんだと思います.そのため,2次元で見せるときはボケを強調する必要があったわけですが,今の3D映画はこの強調されたボケをそのまま取り込んでいます.
現状の3D映画を見る限り,両方がごっちゃになっていて妙な違和感を感じます.具体的に言うと,画像的にボケてる部分を見たときボケてるのに視差は合っていて,そのとき画像的にボケてないところは視差が合わないということが起こります.何だろうこれは.彫刻の一部に「ボケ」といってもやもやした謎の物体が置かれてる感覚です.画像的にぼけている部分に視差をあわせられてしまうのが問題の気もします.まだ黎明期ということで,これから新しい表現方法が作られていくでしょう.そちらに期待.あるいはパンフォーカスっぽい表現が流行るのかもしれません.

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