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新書を久しぶりに読みました.私は金融工学はまったくの素人なんですが,初学者にも読めるように色々配慮されているように感じました.難しい数式は話半分にしか理解できませんでしたが・・・.
さて,私がこの手の専門領域の方がかかれる新書に期待することは,半分は今書いたような専門分野の入り口の記述で,もう半分がその業界の歴史といいますか,背景といいますか,ノンフィクション的な話です.著者の今野先生は,金融工学という学問が興る,まさにその瞬間を体験した方のようで,「経済学」という学問にいかにして「工学」という異分子が入り込んでいったかのドキュメンタリーが非常におもしろかったです.特に,こうした数式バリバリの手法が経験主義的な既存の経済学にいかに受け入れられなかったか,そしてにもかかわらずいかにインパクトを与えたかという話は非常に興味深い.
これを読んで思うのは,twitterで話題になったことですが,NLPに統計的手法が入り込んできたときに,既存の言語学の先生方がこぞって言語処理学会から消えていったというエピソードです.数学とか統計とか,とかく理工系の学問を新たに体得するというのはかなり大きな障壁があるのは事実ですが,たとえば共同研究するとかやり方は色々あったのではないかと思います.逆に我々も,統計や機械学習だけに固執してしまってはいけなくて,方々に知識の裾野を広げていかないとと常に思います.大学の特に大御所といわれる先生が必ずしも新しいものにnegativeという訳ではなくて,たとえば私の指導教官の先生は話を聞くだけで新しい手法の利点・欠点・特徴,あらゆるものを一瞬で理解してしまう方でした.知識は誰よりも広く,深くはないはずなのに要点は全部押さえているという.マネジメントの能力というのはこういうことを指すのかな,と漠然と思ったものです.
今の職場は,NLPはもとより,言語学から数学から物理から機械学習まで,ドンだけ幅あんねんといういろんなバックグラウンドの方のいる謎グループにいるので,こうした知識をうまく活用したいなぁと日頃から思っている次第.
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